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2020.5.26

法的整理(破産・民事再生等)について

 

 新型コロナウィルスによる影響等で業績不振となった企業様も少なからずおられること思われます。政府による経済対策もなされておりますが,適宜性を欠き,固定費の支出の必要から困難な状況に陥ることもやむをえない状況といえます。

 企業様にとって,法的整理(破産・民事再生等)を検討することは,勿論望ましいことではありません。しかし,やむをえない経済的困難に至った場合,法的整理は法律上認められたセーフティネットとして機能するものです。強硬に事業を継続されることはむしろ損害を拡大することになりかねず,また,不用意な金策等によって経営者様個人の生活にも影響を与えることにもなりかねません。

 適切に企業様の経営・財務状況を判断し,しかるべき対策を講ずるためにも,差し迫った状況に陥る前に弁護士にご相談ください。

 なお,企業様(法人)の破産にあたって頻繁にお伺いするご質問について以下記載します。 
①現代表者は別の会社の代表者になれないのではないですか。
→法人のみ破産する場合には代表者を含む役員の個人的責任が課されないのが原則です。この場合,別会社の代表者になることも会社法上制限されません。
 

②税金や社会保険料の未払いは代表者が負担しなければならないのではないですか。
→法人の一般的な借り入れについて代表者が保証していなければ法人の破産によって代表者個人が原則として返済義務を負うものではないことは周知されていますが,法人の債務を個人が負担しないとの原則は税金や社会保険料についても同様であり,やはり代表者個人が負担することには原則なりません。
 

③代表者個人が例外的に責任を負うのはどのような場合ですか。
→詐欺的に破産を行った場合に責めを負いうることは当然ですが,ありがちなところで例えば企業が経済的に困難な状況に陥った後,代表者が法人に行っていた貸付について返済を受けていたといった法人の財産を減少させていた場合等も考えられます。なお,会社の危機時期においては一定の債権者のみを代表者の個人的情実により優先して返済するようなことも法的に認められず,返済を受けた債権者は受領した金員を破産手続きにおいて返金する(財団に組み入れる)よう迫られることにもなります。
 

④弁護士費用や裁判所の費用はどうすればよいのですか。
→事業が継続している法人の場合,弁護士から債権者に受任通知を送付して支払を停止し,他方で,法人の資産の換価を検討し,また,売掛等の回収を検討することで確保できることは少なくありません。事案により異なりますが,事業が継続している場合は,一般的にいえば工面できる場合が多いと思われますので弁護士にご相談ください。